4. Webでの試行錯誤 |Web常設展「回覧の軌跡」

―FDの回覧から始まり、インストゥルメンタル曲の作曲に至るまで― これまでの活動を紹介。

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updated 2014-05-27

インターネットが開通する前からHTMLに触れ、
開通してからはWebページを試しに作り、内容もなければ人も来ないのでしばらくして閉鎖し、
また、作り始めたのが2002年だった。
ソフトを作ったときのような、発想と技術のかけ合わせの舞台は、Webになっていた。

茶無茶屋から回覧百貨箱へ

これまでサイトが長続きしなかった敗因は、トップページを作ることに力が注がれ、それ以外のところに目が行かなかったことだ。
2002年、作り続けていた曲と個人的に撮っていた風景写真をメインコンテンツとして、サイトデザインには敢えてこだわらず、とにかく並べて出してみる、という敷居の低さで@chi_ri_jinが「茶無茶屋(ちゃなしちゃや)」というサイトを開設。「同じ高校の、私の周辺の人々が見る」程度のサイトとして、過疎地のよろづ屋並の賑わいを誇った。

茶無茶屋トップページ

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サイトデザインは非常にシンプルなものだった。

更新頻度の鈍い個人のページが複数あるよりも、複数人管理であればサイトとしては内容も増え、更新頻度も上がるだろう、という目論見もあり、茶無茶屋の内容をほぼ継承して、@takiwo88を含めた数人での共同管理サイト「回覧百貨箱」を公開した。内容は風景写真と音楽のまま、少々内容が増えつつも大きく増えることはなく、またも結局トップページのデザインだけは頻繁に変わるサイトとなってしまった。しかしこの試行錯誤でWebデザインの幅は拡がったかも知れない。

回覧百貨箱 トップページの変遷

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左上が開設当時のページ。トップページは、わずか1年で右下のデザインに変化した。

素材とシステムの自給へ

Webは何を目指していたかといえば、アクセス率の向上でもコンテンツの充実でもなく「素材そシステムの自給」だった。
前者2つはできる見込みもなく、したがって本腰を入れることもできなかった。その代わり、素材…つまりデザインや写真、イラスト、カウンター、掲示板といったものを「借り物」ではなく自前で用意する動きが進んだ。ソーシャルメディアが発達していなかった当時、コミュニケーションツールとして掲示板の存在意義はあった。素人がアクセス解析をできる時代でもなく、カウンターはアクセス数を知る手がかりでもあった。これらのツールは、当時「借りるもの」であり、有料で貸し出すところもあったほどだ。当初、無料で質の良いものを借りるべく、奔走していたが、どうにか@takiwo88の尽力もあって「自給」にこぎつけた。サーバーこそレンタルだったが、@takiwo88は自前でのサーバー構築を試み、CGIを習得することで試行錯誤を重ねた。

その集大成として、2005年9月「回覧ノート」が完成する。これはStory 05でも紹介する、「三日箱」で作った「回覧日記」に次ぐ記事生成システム第2弾だった。ただ、これはあくまで日記であり、回覧ノートで実現しようとしていたのは、画像や図を入れた記事を単体ページで生成するシステムだった。「自動的に、定型のデザインや書式を用意して、掲示板に書きこむのと同じ要領でページを生成できたほうが、ページ作成のハードルは下がって内容が充実するだろう」という目論見だったが、これはまさにWeblogを意識したものである。Weblogが広く知られるようになってから、回覧でもそれらを自給し、回覧のページに組み込もうとする動きであった。

ところが結果を言うと、システムは完成したまま、記事はほとんど作られずに終わってしまったのである。一旦作りこんだら、改編すべきところが出てきても改編が難しいこと、既存Weblogサービスにはどう頑張っても追いつかなかったことが要因だった。

CGI・デザイン完全自給の掲示板とカウンター

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デザイン性と機能性を両立した掲示板。@chi_ri_jin@takiwo88の共同制作。
これらは、回覧百貨箱ページに採用された他、知人サイトでも利用される話が進んだ。

自給Weblog「回覧ノート」

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記事・フォルダ管理画面で、全体の管理が可能。記事の入力の画面では、カテゴリ、見出し、単純な装飾の指定が可能。基本的にはHTMLタグを打てばそのまま反映される。入力が完了すると、あらかじめ設定されたデザインの記事(HTML)が生成されるというものであった。まさにWeblogである。

既存Webサービスの活用

回覧ノートの完成の後、「自給路線」からの転換を図ることとなった。それまで、自給のためのシステム構築(デザイン・企画等含む)に工数を割き、完成したら目標達成で力が尽きていた。これでは回覧のWebでずっと抱えている「構想はなんとなく大きいが内容が充実しない」という問題は一向に解決しないことが分かったが、それも出来る限りやり尽くしたからこそ、自ら掴んで分かった結果でもあった。

とはいえ、、回覧で独自に組み立てていたもの(Web等)を放棄し、当時発達し始めていたWeblogやSNSサービス等に合流して解消することは考えなかった。少なからず独自Web構築には既存SNSやWebにないメリットがあったこ。何にしても「1から作る」ことで分かることがあり、発想や技術を試す場として有効だったのだ。当時からデータサーバー、メールサーバーとしてレンタルサーバーを有効利用しており、そうであればWebスペースとしても活用の余地はあったという背景もある。

「せっかく作るのであれば、より機能性が高くて有効利用されるものを作った方が良い」ということで、利用できるものは利用した上で、新しいものを作る路線に切り替えた。これまでが孤立に近い自給だったかも知れない。

その最初で最後の試みとなったのが、Movable Typeを利用した「回覧雑記帳」である。回覧ノートに代替するもので、Movable Typeをサーバー上にインストールすることで、トラックバックやコメント等、世間のWeblogと同等の機能を担保した。これは1から作ったものではないが、システムをインストールしたこと、インターフェースを1から考えたことでWeblogという仕組みを理解する一助にはなった。そしてしばらくWeblogの更新は続いた。とはいえ1〜2年してWeblogの更新を止めてしまったのは言いだしっぺの@chi_ri_jinであった。デザインは当時の「回覧」仕様ではないものの、このシステムを継承して現在も運用している例もある。

Movable Typeをインストールして作られたWeblog「回覧雑記帳」

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カテゴリ別に可変となるページデザイン、同じく雑記帳に参加するメンバーとの連動を考慮して作成された。

回覧を故郷にして

回覧グループは、発想を形にする小さな技術者集団の"走り"でしたが、頼れる組織や団体があった訳でもなければ、人脈に長けていた訳でもなかった。高校を同じくした発起人の面々は、当然ながら大学も全員異なった。そもそも、回覧でやっていたことの発展形や同業者は、周囲を見回しても見つけることがなかった。

@chi_ri_jinは、「人と一緒に何かをすること」において、それまで回覧でやっていたことと全く関係ない、留学生との交流サークルに入り、回覧で身につけたことをもとにWebを作ったりもした。また、一人で地方都市を回り、一人で見やすい地図や都市空間の解析等をしていた。大学を編入したこともあり、友人・知人の幅は広がったが、それらは回覧の志向とも関係なければ、一人でやっていたこととも関係がなかった。さらに言えば、大学の専攻も、バイトも、その後就職した先の仕事も、どれも別個のもので関連がない。しかし、今はそれぞれの異なる世界での経験があったからこそ、幅が広がったと思っている。こうして世界を拡げるにおいて、回覧の枠内にとどまるのではなく、自然とソーシャルメディア(SNS)へとシフトして行った。と言っても、単に日記を書いていただけであった。いつしか、回覧は故郷となり、遺跡になっていたが…あらゆる価値観や活動に触れた後で振り返ってみても、回覧グループとしての歩みはおもしろかったことであり、飲み込みの悪い私が、0から何かを作って掴んでいった過程でもあるのだ。

@takiwo88は、工学系・通信系の専攻であり、課外活動も通信系であった。回覧で培ったDTM(作曲・編曲等)をもとに、バンドに呼ばれることや、編曲依頼を経て、CDを協同出展することもあった。また、アマチュアカメラマンとしての道を極め、写真を撮りながらPhotoblogの更新に勤しみ、光学系の企業への就職へ進んだ…という人もいる。

母校…学校でも組織でもなく、なんとなくゆるやかにあった連帯と、そこで作られたものと記憶が残っている。それが当Webサイト「回覧の軌跡」だ。一旦回覧グループとしての歩みはここで締めくくることにする。Story0506は、その後の軌跡ではなく、時系列的にはこの前のことだ。

Story05 (SNS作りへ)

Story04の歩みから派生した発展形だが、2004年で止まってしまった。

Story06 (行動範囲と友人関係を交通網にする)

01〜05と全く関係ないことだが、回覧ではスタンダードになっていたことの1つだ。併せてご覧いただければと思う。

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